【江戸時代】

江戸時代には、アワビは贅沢な食べ物として珍重されていたようです。
日本の重要な交易品でもあり、中国貿易として干しアワビがたくさん運ばれていったようです。
日本では、「熨斗紙」の習慣が始まり、アワビを薄くリンゴの皮の様にむいて干した物を使っていました。
生のままのアワビは痛みやすいので、日持ちができるように
かつら剥きの要領で薄切りにしてから乾燥させるのに、「火熨斗(ひのし)」という炭火を入れた鉄製の道具を使ってました。
出来あがったのが「熨斗あわび」です。
現在は簡略化されて、黄色の紙を短冊に切って、紅白の紙でたたんで作っています。

熨斗袋はあちこちのお祝い事で使われていて、お年玉でも熨斗のマークが入っていますよね。
そのルーツは、昔、年貢として、お米だけでなく、各地方の名産を献上していました。
千葉の人たちはアワビを殿様に献上していたんですが、生では届くまでに死んでしまうので、
鮑をスライスして干し、のして薄べたくし、和紙に包んで献上して痛んだそうです。

「のしたアワビを包んだ袋」が「熨斗袋」の始まりだったわけです。
これが一般の人にも広まって、さらに、アワビは高価で簡単に手に入れるわけに行かないことから、紙で代用したり、絵で書いたりして、今では、印刷したマークになったって訳です。
お祝いがあった時に、熨斗袋や、熨斗紙を付けてお金や物を渡すのは、この名残って事です。