【海女の持ち物】

海女さんの仕事着は、かすりはんてんでもぐることが多いですが、三重県鳥羽市の海女さんは白い木綿の「磯着」を着用しています。白は膨張して見える効果があるので、サメに襲われるのを防ぐ効果があるんです。
髪が海の中で乱れて、視界をさえぎらないように白い手ぬぐいで髪の毛を覆います。
水中メガネは、二つメガネと一つメガネとあります。
鼻を出すものと、メガネのマスクの中に一緒に鼻を隠すタイプのものと、両方あります。

「磯ノミ」は、アワビを岩から剥ぎ取る時に、使いますが、柄ノミ(えのみ)とカギノミとあって、柄ノミ(えのみ)は、握り手に木の柄がついています。柄には、魔よけの印の「セーマン」「ドーマン」が彫ってあります。
星形は一筆書きで、再び同じ場所に戻ってくるので、海にもぐっても必ず戻ってくるという理由です。
カギノミは、アワビをそのかぎ針のようにグニッと曲がった部分で、張り付いているのを剥がしたり、ウニやサザエを岩の間から、かき出して、取り出します。

獲ったものを入れておく網を、「スカリ」と言います。
麻、綿糸のものもありますが、シュロ縄のものが多いです。最近は、化学繊維で作られたものを使用しています。

海女小屋は、海女達の休憩所です。
食事をしたり、海で冷えた体をかまどで暖めながら、談笑する憩いの場で、皆さん明るいです。

海女という仕事は、常に死と隣り合わせの過酷な仕事です。
海の中は危険が一杯です。

海中で、海草に引っかかったり、岩の割れ目に挟まって抜けられなくなってしまったり、めまいがして意識を失ってしまったりする事がいつ何時あるか分からないんです。
なので、魔よけの印をつけた道具を使ったり、作業前のお祈りをして、今日も無事で漁が出来る事を祈ったりします。